先日、アウトセット上吊り引戸に組み込まれたガラスを交換しましたが、このタイプの引戸のガラスは割れ替えを想定されて造られていないタイプがあります。それは、内装用の仕上げ釘(フィニッシュネイル)でガラス押さえを固定されているガラス組込引戸です。多くの引戸はガラス押さえが外れるようにネジで固定されていますが、最近の引戸は仕上がりを重視してか、ネジではなくフィニッシュネイルです。
フィニッシュネイルは釘頭の径が小さく、見た目をきれいに仕上げやすい釘で、頭が釘面に沈むようになっていますから、ガラス押さえには一見釘が入っているように見えません。恐らく、フィニッシュネイルが釘より固定力が強く、色のバリエーションも豊富で、素材に合わせて目立ちにくく使える点で、ネジではなくフィニッシュネイルでガラス押さえを固定する方法が採用されているのだと考えます。
しかし、ただフィニッシュ固定されているだけならまだしも、接着も併用されている場合がありますから、完全にガラスの割れ替えは想定していないことがよく分かりますね。

そのような場合、特に注意してガラス押さえを外す必要があります。力任せに外すとガラス押さえはパキッと折れてしまうことでしょう。慎重にフィニッシュネイルが入っているガラス押さえの隙間に入れて、テコの原理でちょっとづつ上の写真のように、ガラス押さえを外していきます。接着も併用されているとバリバリと毛羽立ちますので、外したガラス押さえやガラス開口部の毛羽立った部分はカッターやヘラで削ぎ落としておきます。毛羽が残っていると、ガラス押さえを再度取り付けた際に浮きや隙間ができる原因になり、ガラスがしっかり固定できないため注意しましょう。

ガラス押さえは縦枠だけでも良いですが、できれば縦枠と上枠を外して、残ったガラス押さえがL字になるように取り外しておくと、新しく切ったガラスを嵌め込むときに楽ですよ。

ガラスを入れる前に、ガラスが入っていた開口部にはフィニッシュネイルが残っていますから、ネジザウルスで引っこ抜いておきます。フィニッシュネイルが残ったままではガラスが釘と干渉して入りませんから、忘れないように注意しましょう。

ガラスが入る開口部から出来寸を計算して、ガラスをカットします。ガラスの縁は切りっぱなしでも良いですが、嵌め込む際にうっかり建具表面に当てるとキズ付くため、ガラスエッジはガラス研磨用の砥石をサンダーに付けて糸面取りしておくと安心です。

ガラスを嵌め込みました。

ガラス押さえをつける前に、ガラス押さえに付着している古い接着材を取り外しておきます。

割れ替えしやすいように、接着を付けずにガラス押さえを嵌め込んでみましたが、浮きが出るような感触がありました。
なので、元々付いていたようにガラス押さえの縁にシリコーン材を付けていきます。元々、接着が付いていない場合は、シリコーン材をつける必要はありません。

ガラス押さえを開口部に固定していきます。フィニッシュネイルは固定力が強いため、次に割れた際に再度ガラス押さえを外すのは大変なので、割れ替えしやすいように、使う釘はフィニッシュネイラではなく隠し釘にしています。

ガラス交換した上吊り引戸を枠にセットし直して、作業完了です。
本来、割れ替え想定されていないフィニッシュ固定された建具のガラスを交換する際は、どんなに気をつけていてもガラス押さえが破損する場合がありますから、そういったリスクを把握して慎重に作業していく必要がありますね。また、ガラス屋さんに修理依頼する際はリスクを覚悟してガラス交換を依頼するようにしましょう。
